『安心をもらいに…』
 
一千万円…だそうです。“がん”と誤診され、乳房ごと切除されてしまったときの慰謝料。

乳がん検診で万が一シコリが見つかったら、細胞を調べるためとはいえ絶対に私のようにすぐ摘出手術などせずに(普通はすぐ切らないらしい)、ただの外科ではなくがん専門病院か乳腺科のある病院で診てもらうべき。

同じ細胞なのに病理医によって“がん”だったり“がん”じゃなかったり、こんなことが実際に起こっているのです。

私にがん告知をしたE病院に一連の検査結果を持って行った時、院長、理事、外科部長が応対してくれましたが、
「ウチの病院ではやはりがんの疑いは拭いきれない。」
「病理医も人間ですから。」
…人間だから間違いもあり許してほしいという意味なのか?

でもそのままE病院に通っていたら右脇のリンパ節を全摘され将来右腕が上がらなくなっていたかもしれません。1ヶ月半もコバルト照射を受け、健康な細胞に負担をかけたかもしれません。そして再発に怯える日々…
家族にも大変な心労を与えたでしょう。
勿論がんだった場合は必要な治療で、今も治療なさっている方がいるのは現実のこと。あの待合室で顔を合わせた誰かは、病気と戦っているのかもしれないと思うと胸が苦しくなります。

胸の4センチの傷あとは何を言わんとしているのか…。


ただ、私の中でもの凄い意識変化があったことは確かです。
『今日を悔いなく生きよう。生きているうち、身体が自由に動けるうちに、やりたいことは遠慮しないでやろう。たくさん笑おう。たくさん愛そう。 』
こんな思いが細胞ひとつひとつにまでジワリとしみ込んだのです。
明日が普通に訪れる保証はどこにも無いという言葉がふと頭に浮かび、
そして初めて、頭ではなく身体が理解したような感覚。命がある事への感謝の気持ち…。

早期発見の為に乳癌検診は必須。そして子宮ガンなどの婦人科検診も同様に重要です。
実は私、二十四才の時「穿孔性卵巣膿腫(せんこうせいらんそうのうしゅ)」で緊急手術を受けて、周りの人に迷惑をかけ、辛い思いをしました。
その時も凄く色々考えさせられたけど、今回のように「死」と云う所までは意識が行きませんでした。あの時は、ただ仕事に復帰できた喜びと周囲への感謝の気持ち。でも今は、急に私がこの世からいなくなってしまうかもしれない、寿命って神様しか分からないんだなぁと云う思いが残っています。


結局私の身体はどうなのかと云うと、グレーが一件、白が二件。つまり「一般の人と同じ」状態です。
半年や一年ごとに検診を受けて、悪い所がないか自己管理です。

にしても、偉そうな事言ってるわりに私自身喉元すぎて熱さを忘れないようにしないといけません。

 安心をもらいに検診に行きましょう。勇気をもって。
 愛する家族を安心させるのも、一つの愛情表現ですよね。