書いた人: 三石琴乃
2008年02月19日投稿
期待と不安の一週間が過ぎた。さぁ、どっちだ?
診察室に入ると、教授は機嫌良さそうに座っている。 「どうでしたか?検査結果は?」と聞くと、 「んん?どっちだと思う〜?(ニヤリ)」 ……(汗)なんだその軽い返しはっ!(と心の中でツッコんで) 「ど、どっちって…どっっっちですかっ?」 カチカチとPCで検査結果の書類を開きつつ、 「がんじゃありません。良かったね。」 と、相変わらず大雑把な説明だ。 だんだんとこの教授先生のテンポになれてきたのか、ムカッとは来なくなった私。 「で、左ですか?右ですか?」 「ええ?あぁそうか。これは…先週の左の穿刺した方ね。」 問題の右腫瘤(みぎしゅりゅう)の正体はまだ病理結果が出てないと云う。 病理検査は終わってるが、ちゃんと書類になっていないとの事。なんて時間がかかるのでしょう大病院て… 「もう出て来ると思うので、30分位昼食でも取ってきて。時間はある?今日解った方がいいでしょ。 でもね、がんじゃないと思うよ〜。僕はがんセンターの病理にいたからだいたい解るんだけどね。」 “思う”では困る。決定的な何か安心出来るものが欲しい。 「では、どうしてE医院はがんだと判断したんですか?」 と疑問を投げかけた。 白か黒か病院によって違うなんて信じられないことだ。 「ん?無能だからですよ、病理が。外科の先生はその結果を伝えただけだから、その先生の事は恨まないでね。」 おお、同業を守る発言。ちょっと見直した。 仕方ないので昼食をとりに一度病院を出た。 ものすごく宙ぶらりんな気持ちでナシゴレンを食べた。 癌じゃないかも……張りつめていた気持ちが緩んできて思わず涙が溢れてきた。 だめだめ!まだ大丈夫だと決まったわけではない。安心するのは早い。レモングラスが目にしみただけだ…… 再び診察室へ戻ったが、まだ病理結果が出て来ないとの事。 「でもね〜、がんじゃないと思うよ僕は。もうね、放置です、放置。治療は無しです。良かったね〜。でも逆にがんじゃないと云われていたのに、ここに来たらがんだと判った人もいるのよ…。色々子供のこととか考えちゃったでしょ?」 「あぁ、勿論…それに何より、親より先に逝けないなぁとか考えました。実は未だ今回のこと両親には伝えられなくて…」 と、また涙腺が緩んで来たわたし。 すると教授は 「E病院の先生に文句でも云ったら?一ヶ月間精神的に苦痛を受けましたって。 あ、いやいや、焚き付けちゃいかんな(笑)」 …ちょっとこの人、面白がってるでしょ?もしかして? さっきは同業をかばっていたと思ったのに…見直した私が甘かった。 病理結果は来週ということになり、その結果が良性だったとしてももう一件別の機関でコンサルをお願いしたいと申し出た。教授から名前が挙がったのは病理専門のS乳腺外科。 そこは教授の師がいて、乳腺科の世界では最高裁と云った所だそうだ。 コンサルなんて、グレイズアナトミーの台詞以外で初めて使った… |
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